コラム インタビュー

国立台湾大学医学部付属病院の脱毛症専門外来を訪ねて

Intervierwer:小山太郎(F.M.L.評議員 医学博士)


2011年1月、台湾の台北市内に国立台湾大学医学部付属病院(National Taiwan University Hospital, 以下NTUH)の皮膚科を訪問し、脱毛症専門外来の診察に参加してきた。NTUHは総統府や議会が集まる台北中心地に位置する台湾最大の国立病院である(写真1)。日本統治時代に建てられた歴史を感じさせる石造りの外来棟と、最新の高層病棟の対比が印象的な病院である。皮膚科の紀秀華教授による病院案内の後、蔡呈芳先生が担当する脱毛症外来に参加させていただいた。

診察内容

今回、筆者が参加した脱毛症外来はNTUHの皮膚科が毎週水曜日の午前におこなっている専門外来である(写真2:外来担当医表)。担当医である蔡呈芳先生が2~3名のレジデント医師と看護師1名とで20人~30人の脱毛症患者の診察にあたっている(写真3)。診察室には、患者への説明に使われる脱毛症分類のイラストや治療効果を解説したポスター(写真4,5)が用意されており、脱毛症の専門外来であることが一目でわかる。

別室でレジデント医師が問診をとった後に蔡先生の診察が始まる。Taiwan_1_2 必要に応じて採血や写真撮影をおこなう。採血では生化学、末梢血といった一般的な項目に加え、亜鉛、フェリチン、甲状腺ホルモン、女性ホルモンなども調べている。写真撮影は3ヶ月毎に行い治療効果の評価に用いている。男性型脱毛症(以下AGA)の治療には、ミノキシジル外用、フィナステリド内服を用いる。女性の脱毛症には上記に加えて、diane、flutamide、spironolactone(いずれも抗アンドロゲン作用があるとされている薬剤)などを用いている。薬による治療に抵抗感の強い患者や、薬の適応がない軽度の脱毛症患者には光治療器を用いて治療をおこなっている。

写真1:NTUHの外来棟、右端が病棟

またこの専門外来では現在、デュタステリドによるAGA治療の治験が進められており、今回その現場にも立ち会うことが出来た(写真6)。

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写真2: NTUH皮膚科の外来担当医表    

写真3:左から筆者、レジデント医師2名、紀教授、蔡先生

Taiwan_4_4 写真4: Hamilton/ Norwood分類








Taiwan_5_4写真5: 診察室のポスター   













Taiwan_6_4 写真6: 治験の効果判定の為のトリコグラムの撮影中







脱毛症専門外来参加の感想

今回、NTUH皮膚科の脱毛症専門外来に参加することができた。他国の大学病院の専門外来に参加できたことは大きな収穫であった。診察方法、治療方針ともに大まかな点は日本と同じであったが、以下の2点が印象に残った。

1つ目は女性の脱毛症治療でのフィナステリドの取り扱いである。フィナステリドの女性患者における発毛効果については、有効性を示唆する症例報告は存在するものの、十分な有効性を報告したrandomized control trialが存在せず、実際の治療でどのように用いるかは国や施設によって開きがある。台湾の国立大学病院の脱毛症専門外来で、閉経後の女性に対してはフィナステリドを積極的に用いているという事実に触れることができ、参考になった。

印象に残った2つ目の出来事は、今回の訪問中にデュタステリドによるAGA治療の治験の現場に遭遇できたことである。韓国では既にFDAの認可が下り処方されているが、今後、台湾を含め韓国に続く国が出てくる可能性があるのではないだろうか(蔡先生によれば欧米諸国はこの治験には参加していないそうであるが)。

時間の都合で見学できなかったが、同大学で進められている毛髪の再生医療の研究を含め、NTUH皮膚科の毛髪治療への取り組みには今後も注目していきたい。
今回、外来参加の機会を与えてくださったNTUH皮膚科の紀秀華教授、蔡呈芳先生、外来スタッフの皆様にこの場をお借りして深謝いたします。

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