コラム

臨床と研究の双方から見た頭髪治療の課題

Koyamadr01テレビCMや広告の影響もあり、頭髪治療に対する認知、すなわち「薄毛は治る」といった認識が、ここ数年で急激に普及したように思います。筆者も、こうした流れの中で治療を施す臨床医として、そして、研究者として頭髪治療に魅了された人間の一人です。

1. これまでの研究
筆者はこれまで、形成外科領域におけるPRP利用の可能性や、筋芽細胞を利用した骨格筋再生、創傷治癒における遺伝子治療といった研究に取り組んできました(画像1)。
最近では、皮膚細片を創傷治癒の遺伝子治療に利用することに挑戦し、VEGF遺伝子を導入した皮膚細片を創部に移植することで、創部でのVEGFの発現と、血管新生の促進に成功しました。エリクソン教授(Harvard Medical School、形成外科教授)らと共に開発した皮膚細片作成のための器具(画像2)により、本技術の臨床応用の可能性も見えてきました。

参照:[ジャーナル

Koyamadr022. 研究分野としてみた頭髪治療の魅力
毛髪は皮膚付属器の一つです。創傷治癒や再生医療の研究においても幹細胞の源として魅力的な組織であり、興味を持っていました。
また、これまで主に研究者として医療に携わってきましたが、昨年より実際に頭髪治療に携わる機会を得て、ミノキシジルやフィナステリドといった治療薬の効果を目の当たりにすることとなりました。これら治療薬の効果については以前から耳にしていましたが、実際に自分が処方した患者様に次々と毛が生える様子は非常に興味深いもので、探究心をそそられました。

Koyamadr03

3. 臨床現場からみる頭髪治療の課題
一見万能薬のように見えるこれらの薬剤ですが、まだ課題も残されています。臨床の現場が抱える最大の課題は、効果に個人差があり、ごく一部でありますが、これら薬剤の効果が認められない患者様も存在することです。効果の維持には治療薬の継続投与が必要であることも、患者様にとっては負担になっているはずです。現在の治療でも十分効果は認められていますし、多くの方々に喜んでいただいていますが、さらなる効果と利便性を追求して研究をおこないたいと思っています。
では、実際にはどのようなアプローチが可能でしょうか。課題があるとはいえ、ミノキシジルやフィナステリドの効果を超える新規の薬剤を探索することは、非常に骨の折れる作業になるでしょう。そこで現在私が着目しているのは、ミノキシジルによる発毛機序の研究です。特にその鍵をにぎっている可能性がある「ATPsensitiveカリウムチャネル」と、その下流のpathwayの解明を研究テーマに考えています。今後は、臨床の現場で患者様の声に耳を傾けながら、真剣に発毛を目指した研究に挑戦していきたいです。Koyamadr04

お問い合わせ

当サイトへのお問い合わせを承ります。

お問い合わせ

更新情報
Copyright(C)NPO F.M.L. All Rights Reserved.
RSS RSSについて プライバシーポリシー サイトポリシー