コラム

人はなぜ髪にこだわるのか

3_3  ここに至って余生を「見た目のアンチエイジング」に捧げる決心をし、日々このテーマと向き合っております。この中に、私が先送りしてきた種々の問題がほとんど含まれているといっても過言ではありません。それは、加齢による皮膚、容貌、そして体型の変化に関するデータ分析、そしてそこから浮き彫りになるであろう問題点の解決であります。壮大な計画で、余命いくばくもない筈の私にどこまでできるか分かりませんが、せめてその筋道だけでも提示できればと思っております。

そこで今回は、多くの人を悩ませる薄毛にについて、「髪の持つメッセージ性」という観点からお話をさせて頂きたいと思います。我々にとって髪は、果たしてどのような意味を持つのでしょう。デスモンド・モリスというイギリスの動物学者は、人間は“裸の猿”だといっています。進化の頂点で猿は体毛を失い、同時にどういうわけか髪だけが伸び続けるようになり、その結果誕生したのが人類だというのです。彼のいうように、直立した裸の猿が髪だけを黒々となびかせて森の中を飛び回るのは、動物界では異様な光景であったに違いありません。やがて人間が言葉を持つようになり文明を誕生させた時、人間自身もこの髪に神性を感じたのではないでしょうか。それは各民族の伝承にも残され、やがてはそれぞれの文化の中で、宗教、権力、そしてファッションの担い手として、象徴的な役割を果たすようになります。

また、文明が発達し始めて以来、少なくとも男性の場合には、力の象徴として、また神聖なるものとして髪が尊重されてきました。シーザーが実は薄毛で、月桂冠はそれを隠すために使われたということは有名な話です。Imgx261035400001_5 伝説的な世界では、バビロンのギルガメッシュ神話。ギルガメッシュの力の元はやはり髪でありました。病気になって髪が抜けたら、力がなくなり負けてしまう。しかし、また髪が生えてきて力を取り戻したということになっています。 一方女性の場合、かつて西洋では、女の人が髪をバラバラにおろすということは性的な解放を意味するので好ましくなく、髪はいつも束ねて帽子などで隠すことがたしなみとされてきました。つまり髪は、男性にとっても女性にとっても、若さの象徴、さらには性の象徴であったといえます。

話は変わりますが、私が東京陸軍軍院、今の聖路加国際病院でインターンを行っていた頃は、ことに軍隊だからでしょうが「毎朝髭を剃れ、髪はキチンと切って、きれいに分けてこい」と厳しく言われていました。ここでは髪は、規律社会のモラルを守るというか、体制的な役割をしていたように思います。またちょうどその頃、アメリカではビートルズが爆発的な人気を集めていました。あのむさ苦しい髪型にはいささか驚かされましたが、あの髪型などは体制を批判する一つのポーズとしての役を担っていたのかもしれません。

我々にとって髪は何を意味し、人はなぜ髪にこだわるのか。要約すれば、こういうことになるでしょう。髪は、古代においては神性なものであり、文明社会においては性のアイデンティティーであり、若さの象徴であり、さらに近代では自己表現のためのアイテムとしての役も担うようになりました。よって、それを失うという事は、アイデンティティーを喪失するに等しい事なのです。これら諸々の習俗、思惑こそが、我々が髪に抱くこだわりの源といえるのではないでしょうか。

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