コラム インタビュー

第112回日本皮膚科学会総会「いま望まれる皮膚科心療」

2013年6月14日(金)~16日(日)パシフィコ横浜(神奈川)で、第112回日本皮膚科学会総会が開催されました。学会ではおよそ250演題もの教育講演を実施。毛髪関係については毛包幹細胞に関する講演や、円形脱毛症や乏毛症、男性型脱毛症などの毛髪疾患の診断・治療・病態に関するセッションなどが行われました。遺伝子変異による症例を含め、さまざまな皮膚疾患を診断するポイントや、薬剤による治療例が紹介されました。

さて、今回のテーマは「いま望まれる皮膚科心療」。“診療”ではなく“心療”にした理由を、会頭の川島眞先生(東京女子医科大学教授)は会頭講演で次のようにお話しされました。

 

Kawashimadr 会頭講演「いま望まれる皮膚科心療」とは
川島先生は東京大学医学部をご卒業後、パスツール市研究所乳頭腫ウイルス部への留学。帰国後は東京大学皮膚科講師を務められた後、東京女子医科大学講師、助教授そして教授に着任されました。そのご経歴の中で、ヒトパピローマ(HPV)や、伝染性軟属腫などのウイルスを中心に研究されてこられましたが、より患者の多い疾患を研究対象にと、アトピー性皮膚炎の研究を開始されました。

アトピー性皮膚炎患者の多くがステロイド外用剤に恐怖感を抱き、それを拒否するため、まずステロイド外用剤の有用性を示すエビデンス構築に注力。さらには保湿剤、抗ヒスタミン剤の有用性も示しました。しかし、エビデンスが揃ったにもかかわらずアトピー性皮膚炎の重症患者が減らないという経験をされ理由を探ったところ、掻破行動の異常の存在に気付いたそうです。すなわち重症化の原因の多くはストレス等が原因でイライラ感を癒すために引っ掻いてしまう嗜癖的掻破行動であり、患者は引っ掻いてしまうことに気づいていても、それを止められずに辛い思いを抱えていたのです。

川島先生は、仕事にしても勉強にしても完璧にやらねば気がすまない性格の持ち主が多いアトピー性皮膚炎患者に「完璧主義ではなく70点主義でいきましょう」「すべてをちゃんとやろうとしないように」「誰も手抜きに気づかないですよ」と、皮膚と心の心身両面からの治療を続けています。

嗜癖的掻破行動はアトピー性皮膚炎以外の皮膚病でもみられます。皮膚症状と心の辛さを理解して欲しいと希望する患者の心情が分かってきてから、さらに診療にやりがいを感じるようになり、これからも「皮膚を診て心を癒す」ことを目指して努力していくことを続けていくと締めて、皮膚科の先生方に「皮膚科心療」の大切さを伝えられました。

(F.M.L.スタッフ)

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