学会・論文

第3章 Journal of Investigative Dermatologyに論文を投稿 2005年6月

表題:? ?
Effectiveness of finasteride on patients with male pattern baldness who have different androgen receptor gene polymorphism.
(異なったアンドロゲンレセプター遺伝子多型を有する男性型脱毛症患者のフィナステリド有効性)

発行年: 2005年6月

雑誌: Journal of Investigative Dermatology

取材対象者: 脇坂 長興

これまでのF.M.L.の研究内容が2005年6月に発行されたJournal of Investigative Dermatologyに掲載されました。そこで今回は特別に、F.M.L.創設から論文投稿に至るまでの経緯を脇坂長興先生にお伺いしました。


Journal of Investigative Dermatology に論文を投稿

Interviewer
これまでのF.M.L.の研究がJournal of Investigative Dermatologyに掲載されたそうですね。おめでとうございます。皮膚科学の専門家の先生でもこの雑誌に投稿することはなかなか難しいと聞いています。本日は論文を投稿するまでの経緯についてお伺いしたいと思います。

 

脇坂先生
ありがとうございます。ではまず、F.M.L.創設時まで遡ってお話をしたいと思います。
我々が頭髪治療をスタートしたのは、1990年代後半のことでした。当初はどんな患者さんにも確実に効く薬はほとんどありませんでした。例えば塩化カルプロニウムとか、ペンタデカン酸グリセリド、ヒノキチオールなどが脱毛症の治療に使われていたましたが、どれもすべての患者さんに確実に効く薬ではなかったのです。

Interviewer
当時はまだ確実な薄毛治療が確立していなかったんですね。

脇坂先生
そうなんです。そんな時我々のグループの先生が、「大手製薬会社のアップジョンが販売する『ミノキシジル』という新薬が、アメリカなどで頭髪治療に使われ始めている」ということを耳にしました。
そこで、アメリカなどの臨床試験の結果を調査して、実際に使用した人たちの評価を調べることにしました。
今では当たり前になったインターネットを利用した文献検索も、その頃はようやく利用され始めたばかりでした。そこで、インターネットを使って学術論文を調べたり、E-mailで交信しながら海外の大学と共同研究をしたりしていた先生に、ミノキシジルに関する調査を依頼しました。当時の調査から解かったことは、ミノキシジルという薬は従来の発毛剤とは違って「確実に毛を生やす」ということでした。
また、外国の使用者からの評判も良いことがわかりました(図1参照)。そこで我々のグループではこの薬を輸入して、脱毛症の患者さんの治療に使ってみることにしました。

Gakkai03_02

図1. 当時のインターネット調査の記録(1997年)

Interviewer
ミノキシジルというと最近ではかなり使用が一般的になってきましたが、その頃はまだ有名ではなかったんですね。では、表題にあるフィナステリドの方は、どのような経緯で使い始めたのですか。

脇坂先生
1997年に入ってから、米国の食品医薬品安全局がさらに新しい薬「フィナステリド」を男性型脱毛症の治療薬として認可しました。その時もF.M.L.グループではいち早くこの薬の調査を行い、その効果と副作用などをしっかり把握したうえで、患者さんの治療に使い始めました。いずれも大多数の患者さんに効果があり、しかも症状に応じてこの二種類の薬を上手に併用すると効果が高くなることが分かりました。

Interviewer
なるほど。では、現在はミノキシジルとフィナステリドの2種類の薬で治療を行っているということですか。

脇坂先生
いえ、私たちはさらにこれ以外の薬剤も早くから使っています。症状によってはケトコナゾールやサイプロテロンも効果を上げています。さらに最近では、フィナステリドと似た働きがあり、さらに効果的であるいといわれているデュタステリドの使用も試みています。これらの薬剤は患者さんの症状に合わせて使い分けています。
そして、「体全体の健康を向上させながら頭髪を治療する」という思想から、髪のサプリメントだけでなく、様々な種類のサプリメントの開発に協力して患者さんにお勧めしてきました。

Interviewer
色々な症状の患者さんに対応できるよう、薬剤を使い分けているのですね。

脇坂先生
はい。また我々のグループは治療を行う一方で、脱毛症と遺伝子の関係についても研究を行ってきました。その結果、「AR遺伝子の中ほどにあるCAGやGGCという塩基の繰り返しが短い人は、男性型脱毛症になりやすい」という事実や、「AR遺伝子の繰り返し配列が短い人はフィナステリドが良く効く」といった事実が明らかになりました(第1章、及び第2章参照)。

Interviewer
そこで脇坂先生がそれらの結果をまとめて科学雑誌に論文を投稿されたんですね。

脇坂先生
ええ、この研究に携わってきたF.M.L.のドクターの名前で、それまでの研究成果を2005年の Journal of Investigative Dermatology という研究誌に Symposium Proceeding? として書きました(図2)。

Gakkai03_01

 

図2. Effect of finasteride on patients
with different triplet repeat numbers
in androgen receptor (AR) gene.

Interviewer
すばらしい功績ですね。新しい研究と並行して診療のレベルをだんだんと上げていっていることが分かりました。
本日はどうもありがとうございました。


上記文章はFMLの見解に基づくものであり、内容の正確性・完全性・有用性を保証するものではありません。また、その利用に当っては一切の責任を負いかねます。 > サイトポリシーへ

お問い合わせ

当サイトへのお問い合わせを承ります。

お問い合わせ

更新情報
Copyright(C)NPO F.M.L. All Rights Reserved.
RSS RSSについて プライバシーポリシー サイトポリシー